
平成26年1月から始まった国外財産調書(以下、調書)の提出制度。その提出状況等はどうなっているでしょうか。ここでは、平成29年12月に国税庁から発表された資料(※)などから、提出件数と財産額の推移をみていきます。
上記発表資料などから、平成25年分以降の調書の提出状況をまとめると、以下のとおりです。
28年分の提出件数は9,102件で、初めて9,000件を超えました。また提出件数は毎年増加しています。
局別の提出件数では、東京局が最も多い状況が続いています。なお、名古屋局の提出件数が28年分で初めて前年分を下回りました。
28年分の財産額は3兆3,015億円で、前年分に比べて4.3%の増加となりました。局別にみると、東京局は27年分が減少したものの、28年分は増加に転じています。28年分の調書の提出件数が減少した名古屋局は、財産総額も前年比3.3%の減少となりました。
財産の種類別総額をまとめると、以下のとおりです。28年分では、有価証券が全体の半分程度を占めて最も多くなっています。預貯金と貸付金、上記以外の財産は27年分に比べて総額が減少しています。
27年1月1日以後に提出すべき調書から、罰則規定が適用されることになっていたこともあってか、調書の提出件数は増加を続けています。なお調書提出に関しては、インセンティブ措置などが設けられていますので、こちらも提出件数増加に影響を与えているかもしれません。
(※)国税庁「平成28年分の国外財産調書の提出状況について」
国外財産調書の提出制度とは、その年の12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する居住者は、翌年3月15日までに当該財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した「国外財産調書」を税務署長に提出するという制度です。
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